不穏

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不穏

今日は家族で買い物。 妻と子供は子供服を買いに、その間僕は適当に店を見てまわることにした。 (欲しいもの特になかったから、早いけど合流しよう。 服屋は…おっ、意外と近いとこにあった。) どうやらぐるぐるしてるうちに、服屋の近くまで来ていたらしい。 (どこかな〜。あ、いたいた。) タケルは身長が高いこともあり、すぐに二人を見つけることができた。 「ん?サヤカが誰かと電話してる。モモは?」 妻が服の方を見ながら笑顔で誰かと話している。 友達だろうか? モモはどこだろうか? (とりあえず優先すべきはモモだ。) 足早に服屋をぐるりと一周すると、子供服を売ってるだけあって玩具コーナーもあり、そこにモモがいた。 「モモ!探したよ!ママはどうしたの?」 本当はどこにいるか知っているが、子供に聞いてみる。 子供はちゃんと親のことを見ているから、教えてくれるのだ。 その分、自分も見られてるということだが。 「パパー!」 モモはタケルに嬉しそうに駆け寄ってきた。 「ママ、友だちとお話し中!」 モモはしっかり教えてくれた。 (やっぱり友達と電話してるだけか。 でも家族と買い物してる時にわざわざ電話しなくても…。 モモを一人にさせて話さなくても…。 まあ、一人で店みてた僕が言う権利ないか。) このとき、タケルは少しモヤモヤしていた。 笑顔で話す電話の相手は誰だろう、と。 (あとで聞けばいっか。) 「あ、いたいた。」 サヤカがこちらに来る。 「あ、タケルくん、お店見終わったの?」 「うん、ありがとう。サヤカは何してたの?」 「お洋服悩んじゃって〜。 モモは何でも似合うから…。 そしたらモモ、玩具のとこで遊んでるー!って。 でもやっと決まったの、これにしよっかな! お会計してくるから待っててね。」 「うん。」 (電話のことは言ってこなかった。 モモを一人にしていた罪悪感からか…? それとも、僕に知られたくなかった…?) タケルはさらにモヤモヤした気持ちになったが、 サヤカにはサヤカなりの事情があったに違いない。 そう思い、 (とりあえず今は、電話していたことを聞かないでおこう…。) そして服屋を後にするのだった。
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