人生という名の山を私は登る

3/21
前へ
/21ページ
次へ
残りのレモンサワーを流し込んで伝票を引き寄せる。 「泰ちゃん、先に帰るね…」 背を向けたままそう告げて、折り畳んでいた杖を伸ばす。 「え、待って待って‼︎私も帰る」 泰ちゃんはごく自然に私の椅子を引き腕を支え立ち上がらせてくれた。 「あ…」 背後から彼らの声が聞こえる。 左足を引き()って歩き出す。 「すいませんでした」 富士山でもなく、ホノルルマラソンでもない3人目の声に思わず振り返る。 「……北斗(ほくと)」 「篠宮(しのみや)⁈」 高校卒業以来7年ぶりの再会だった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加