埴輪マン3 悪しき魂の正体

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二人と別れ、大学からバイトに向かう。 バイト先は亡くなった松井博士に紹介してもらった料亭だ。 皿洗いくらいしか出来ないのに、博士の教え子だからと使ってもらっている。 「西条くん、最近は発掘の現場はないのかい?」 親父さんは博士とは同級生だそうで遺跡や発掘品にも興味があり、発掘現場の話を楽しみにしている。 「すいません、まだ博士の事を引きずっていて…」 「そうか…松井があんな事になっちまったからな… まあ、そう気にするな!年寄りが先に逝くのは当たり前なんだから!」 親父さんはそう言って励ましてくれた。 バイトは9時で閉店してから片付け終わる10時まで続く。 「西条くん、今日もお疲れさま… もうあがっていいわよ …これ後で食べてね」 女将さんに残った食材で作った料理をもらった。 残り物とは言え、高級食材を使った高級料理だ。 「ありがとうございます! いつもすいません」 お礼を言って店を出た。 「…今日はご馳走だ」 僕は上機嫌で帰る。 『なあ大和、私は料理の味は分からないが、そんなに違うものなのか?』 「そりゃあ全然違うよ 特に和食は素材の旨味を活かすように料理してるからね」 ハニワンに説明しても分かってもらえないだろうな。 『そうか…、私にも味が分かる感覚が欲しかったな』 ハニワンは残念そうに呟いた。 「ハニワンの時代の料理ってどんなだったの?」 『私の時代では、肉や魚を焼いただけだな 木の実などはすり潰したりはしていたようだが、今のような料理とは比べ物にならない… ヤマトタケルや安倍晴明の時代でも、こんなにいろいろな料理はなかったな』 古代の人達は食事は単なるエネルギー補給としか考えてなかったんだろう。 「料理するようになったのは歴史から見ればごく最近なんだね」 僕は今の時代に生まれて良かったと思った。
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