埴輪マン3 悪しき魂の正体

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遮光器(ゴーグル)を使っても奴は見つからなかった。 「…逃げられたのか?」 『逃げた?…悪しき魂が?』 ビルの周りが騒がしくなってきた。 「…とりあえず、僕たちも行こう」 僕はビルからビルへ跳び移りその場を離れた。 アパートに戻って一息吐いた。 「ふぅ…あいつはどこ行ったのかな?」 『逃げる…あり得ない…』 ハニワンがぶつぶつと何か呟いている。 「ハニワン、どうしたの?さっきからぶつぶつと…」 『…悪しき魂が逃げるなんてあり得ないんだ 奴らは覚醒すると理性はなくなり、より狂暴になる… 言葉を話すのも不可解だったが、逃げる理性があるなんてあり得ない』 それってかなりヤバい事なんじゃないかと直感した。 「ハニワン…悪しき魂の事、もっといろいろ教えてほしいんだけど…」 『私も資料で読んだくらいなのだが…』 ハニワンの説明だと、悪しき魂はハニワンの時代より遥かに昔から存在していたそうだ。 『どうやって現れるのかは不明だ 私達より昔では流行り病の類いと云われていた』 それをハニワンの時代の人達が『悪しき魂』という正体不明な者に取り付かれている事に気付いた。 『私は当初、取り付かれた者を暴れないように押さえるために作られたのだ…』 その後、悪しき魂を倒す(つるぎ)が作られたが、時既に遅くハニワンの文明は滅んでしまった。 「けど、その時の悪しき魂はどうなったの?」 『奴らは長くは生きられないようだ 多分、取り付かれた者の魂が亡くなると奴らも生きていけないのだろう』 つまりは取り付かれた人の魂が奴らのエネルギーになってるって事だ。 被害は増える事になるけど、戦わなくても奴らは死ぬんだ。 『だから、奴らが逃げるなんて考えられない…』 「…確かに、それなら逃げるって変な話だね」 破壊と殺戮が目的なら死ぬ直前まで暴れるだろう。 やっぱり取り付かれた人の魂が何かしらの影響を与えてるのかも知れない。
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