埴輪マン3 悪しき魂の正体

7/24
前へ
/25ページ
次へ
「おはよう!…何見てるの?」 そこに麗香ちゃんが加わった。 「それ、謎のヒーロー動画? 彼、カッコいいわよね」 「…カッコいい?ほんとに?」 「…だって、颯爽と現れて人を助けたのに何も言わずに去ってくなんて、ほんとのヒーローよ」 彼女は目を潤ませて感動している。 「僕、頑張るよ!」 「お前、ヒーローになるのか?」 野口に突っ込まれた。 拡散されている動画には、悪しき魂も埴輪マンもはっきりとは映っていない。 これくらいなら誰も本当とは思わないだろう。 「…僕だってやれば出来るかも知れないだろ?」 「西条がヒーローになるなら、俺は総理大臣になってやるよ」 野口は笑いながら僕の背中を叩いた。 「ハイハイ、二人ともそろそろ講義の時間よ」 僕達はそれぞれの講義に出席するために麗香ちゃんと別れた。 「おい、貴様!」 廊下で呼び止められた。 「ん?…僕?」 「そうだ、貴様だ」 凄いイケメンだけど、見たことのない男だ。 「…誰?」 野口も知らないらしい。 「先に行っててよ 僕に用があるみたいだから…」 野口を行かせてから彼と対峙した。 『大和、気を付けろ この男、何か変だぞ』 ハニワンが心配する。 「え~と、ここじゃ目立っちゃうから、場所変えない?」 僕も嫌な予感がするから、人気のない屋上に向かった。 彼は大人しく着いてきた。 屋上に人はいなかった。 「ここならいいか… …僕に何か用?」 「我の邪魔をするなら、貴様を殺す!」 彼から黒い気配が漏れだした。 「!!…君は何者だ!?」 「もう忘れたのか?昨日は世話になった… 我はガリュシュ、偉大なる民族シェンガロの賢者! …貴様が悪しき魂と呼んでいる者だ」 彼の答えに僕は驚いた。 彼は昨日逃げられた悪しき魂だった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加