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「こ、高校の時は私、ずいぶん先輩にからかわれてましたからね」
「そうだったか?」
「そうですよ。忘れちゃいましたか?」
「……夏凛は、俺が飼ってたコロンに似てたから」
コロンとは――琉唯先輩のペット。
でも、実際に見たことはない。
「私は……ワンちゃんじゃないですけど」
先輩は、少し不服そうな私を見てクスクス笑ってる。
この笑顔、高校の時のまま全然変わってない。
ズルいよ、本当――
若かりし10代のまだあどけなかった私は、この眩しい笑顔に心をグッと掴まれた。
あまり目立たない私にまで優しく声をかけてくれた先輩。
演劇部の絶対的エースの琉唯先輩のおかげで、私は「お芝居すること」「お芝居を観ること」、どちらも楽しいと感じることができた。
演劇部で一緒に過ごした琉唯先輩とのたった1年間の思い出は、今でもまだ私の中でキラキラ輝きながら心の中に存在し続けている。
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