№4

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№4

 その日の夕刻、(ゆう)の部屋に(しゅう)が居た。正しくは二人と一羽が居た。 「こいつらいったい何食べとんやろ?」 ハンカチを詰めたラーメンのカップに燕の雛が居る。 「裕とこの冷蔵庫に魚なんかある?」 「マグロの刺身やったらあるけど?」  そうなんですホームルーム終了後、諦めきれなかった裕は秀を誘って例の何かが落下した現場の草むらに居た。既に下校を促すチャイムが流れている中、秀は頭上の軒下に造られた燕の巣を見上げながら呟いた。 「この雛て、やっぱりあそこの巣から落ちてきたんやな?」 「草が深いから助かったんやろな、可哀そうにな、元の巣に還したろか?」 「どないして? そらぁ無理やで全然届かへんで」 「とにかく、連れて帰ろか⁉」 「うん、そやな・・」 「儂がネットで知らべたるわ」 「なにを?」 「餌やがな、燕の餌ってどこに売ってるか調べんねん」  鳩・スズメ・ムクなど年中目にするような多くの野鳥は地上の虫を食しますが、燕が地上で餌を虫食んでいるところなど見かけたことはありません。 でも空中を飛んでいる昆虫を食する燕はNHKの○○が来た、なんかで何度か見たことがあります。
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