阿津川辰海

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阿津川辰海

 もうこの作家さんは、とにかく読書量が半端ない事で有名な印象。特に海外ものの作品関連の記事をX(旧Twitter)でお見かけし、その度に圧倒されております。  そんな作家さんが書く小説が、面白くない訳がありません。特に個人的に良かったのは、館シリーズの(あお)()(かん)の殺人。探偵役であるキャラクターの家がとんでもない名家で、その所有する館で起こる事件を巡るストーリー。もうとにかく後半で繰り広げられる名探偵による推理と、次々明かされていく犯人の企みに、始終痺れっぱなしでした。  もう一冊は短編集。そのタイトルにもある通り、透明人間が密室に潜んで完全犯罪を成し遂げようとするという、もうその組み合わせだけで惹き込まれ、他に収録された短編の数々も、どれも圧巻です。 974e4711-adb3-44a5-b2e8-242189d9a1e5  そして今、この作家さんの作品で一番楽しみにしているのが、小説新潮という月刊誌で度々連載をされている、迷探偵、(ゆめ)()(あかり)の読書会。  夢見堂で度々行われる、夢見灯主催の読書会で、その日課題図書となったミステリ作品の世界観に、読書会に参加しているメンバーがその作品のそれぞれのキャラクター達(刑事役や犯人役など)となる。その世界は、実は夢見灯の夢の中。読書会のメンバーのひとりである主人公が彼女の夢に巻き込まれ(しかも第一話では主人公が与えられた配役は第一容疑者!)、その夢の中から抜け出すために、ボールサイズの羊の姿となった夢見灯の父親と共に奮闘する。 279295aa-fdeb-4c55-9d65-c3080955bb61  ちなみにこの第一話での元となっているミステリ世界はカーター・ディクスンの第三の銃弾〔完全版〕。ちなみに作者は読んだことありません。  このシリーズの良いところは、元となったミステリ作品を知らない、読んでいなくても楽しめるところ。(個人的意見ですが)  今はこのシリーズ作品が、早く単行本化しないかな、と心待ちにしているところです。
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