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保育士の仕事にはたくさんのケアがある。おむつの交換、トイレトレーニング、汚れた衣服の着替え、着替えさせる時には必ず理由を連絡帳に記入。小さな擦り傷も連絡が必須だ。
奈津美先生やその他の保育士たちがハプニング混じりのマルチタスクを難なくこなしくていく姿に、飯島はただただ驚いていた。
飯島には鬼ごっこの鬼になったりお絵描きしたり、一緒に遊ぶしくらいしかできることはなかった。
給食の配膳もヘアキャップにビニール手袋が必須だ。小さなお盆の上にはご飯とお汁と肉団子にお浸し、たくあんがのっている。
一汁三菜、完璧だと飯島は感心した。すごいな、こども園。
小さな椅子にちょこんと座っていただきますの声がかかるまでじっと待っている園児たちは実に可愛い。こんな子たちの中に十年後に交番でふてくされる中高生が出てくるなんてちょっと信じられないな。
園児たちのメニューと同じものを食べられるのもちょっと得した気分だ。栄養バランスを考えた食事なんて、全然できてなかったからありがたい。
「先生、おいしい?」
近くの席で食べていた男の子が話しかけてきた。
「うん。めっちゃおいしいね」
ふふん、と自分が褒められてみたいに、男の子は満足そうに笑った。
給食の後は外遊び、お昼寝、おやつ、年長さんはひらがなの勉強、年中、年少さんはお絵描きと言うのが午後のメニューだ。
外遊びの間に昼寝用の布団を敷いて、昼寝の間に連絡帳にその日の出来事を一人一人記入する。休む間もない仕事だな、と飯島は思った。
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