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非科学捜査研究所
凶事から3日後。
捜査本部は設置されなかった。凄惨な事件だったというのに新聞報道もなし。
「どういうことだ?」
飯島が首をひねっていると、辞令がおりた。
『本日付で非科学捜査研究所への転属を命じる』
非科学捜査研究所・・・何だ? どこかで聞いたぞ? あ、あの現場でだ。嘘だろう。。。辞令を思わず取り落としてしまった。
「まあ、そういうことだ。がんばれよ」
署長は丁寧にそれを拾い上げ、もう一度飯島に手渡した。
「この研究所は不定期に開設されるんだよ。前は俺が巡査の時だったけど、転属したやつはそのまま戻ってこなかったんだよな・・・」
「しょ、署長。自分は今すぐ辞表を出します」
「アハハ。噓だよ。命までは取られんから心配するな。割り増し手当も出るし、解決してもしなくても不問だし、気楽じゃないか。行ってこい」
などとわけのわからない激励とともに、送り出された先は児童相談所だった。
こんなところに研究所を開設しているのか?
小会議室と表示されたドアプレートの上に、適当な木切れに『非科学捜査研究所』と書かれた看板が貼り付けられていた。
ここか。
恐る恐るドアを開けると、ロの字型に置かれた長机とパイプ椅子が並べられていた。ごく普通の会議室だ。窓のカーテンも開いていて、日の光がさんさんと差し込んでいる。
よかった。普通だ。
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