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しかし、胸をなでおろして中に一歩踏み込んで、そこに着席しているメンバーにギョッとした。
捜査一課長に県警本部長? 県警本部長なんて、警察学校を卒業したときに訓示を受けて以来だ。嘘だろう。
飯島の背筋が反り返るくらいに伸びた。
「飯島君・・・かな。緊張しなくていい。入りなさい。」
本部長が言った。
「はい。失礼します」
びくびくしながら末席に座ってほかのメンバーを確認する。本部長と捜査一課長の他には、銀髪を後ろにまとめ髪にした老婆が座っていた。しわくちゃで小柄だが、目力が強い。飯島は「千と千尋の神隠し」に出てきた湯婆婆に似てると思った。老婆は車いすだった。背後に立っている女性は付き添いだろう。エプロンには『はぐくみこども園』と刺繍されていた。
はぐくみこども園は、飯島の巡回コースにあるこども園だ。あのお婆さんは園長さんなんだろうか。
そして、あの少女だ。
ちらっと見て心臓が止まりそうになった。
怖い。怖すぎる。
飯島は彼女を視界から抹消してしまった。
なんであの時の服装のままなんだ? 血まみれじゃないか。時間がたって黒ずんでしまった血のりがセーラーカラーのワンピースにも顔にもべっとりとついている。何考えてるんだよ怖すぎるよ。
何で誰も何も言わないんだ、異常者なのか?
そりゃ異常者だよな。
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