非科学捜査研究所

2/9
前へ
/74ページ
次へ
しかし、胸をなでおろして中に一歩踏み込んで、そこに着席しているメンバーにギョッとした。 捜査一課長に県警本部長? 県警本部長なんて、警察学校を卒業したときに訓示を受けて以来だ。嘘だろう。 飯島の背筋が反り返るくらいに伸びた。 「飯島君・・・かな。緊張しなくていい。入りなさい。」 本部長が言った。 「はい。失礼します」 びくびくしながら末席に座ってほかのメンバーを確認する。本部長と捜査一課長の他には、銀髪を後ろにまとめ髪にした老婆が座っていた。しわくちゃで小柄だが、目力が強い。飯島は「千と千尋の神隠し」に出てきた湯婆婆に似てると思った。老婆は車いすだった。背後に立っている女性は付き添いだろう。エプロンには『はぐくみこども園』と刺繍されていた。 はぐくみこども園は、飯島の巡回コースにあるこども園だ。あのお婆さんは園長さんなんだろうか。 そして、あの少女だ。 ちらっと見て心臓が止まりそうになった。 怖い。怖すぎる。 飯島は彼女を視界から抹消してしまった。 なんであの時の服装のままなんだ? 血まみれじゃないか。時間がたって黒ずんでしまった血のりがセーラーカラーのワンピースにも顔にもべっとりとついている。何考えてるんだよ怖すぎるよ。 何で誰も何も言わないんだ、異常者なのか? そりゃ異常者だよな。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加