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少女は床に這いつくばって何かを探している。
「・・ないな。ここにはない」
少女のワンピースは血みどろだ。しかし全く気にする様子もない。腐りはじめた血の臭いと、得体のしれない獣の臭いと、無数に飛び散った肉片と、血肉が染みついた畳の上に這いつくばる、真っ白な肌の少女。
異様だ。確かにこれは深入りすべきではない。そう思った。
「・・・子供がいたはずだ」
顔だけをあげて、少女は一課の刑事に聞いた。真っ白い頬がどす黒く血にまみれている。。
「はい。虐待されている可能性がある男の子がいたとの情報があります。しかし、まだ、ここには大人の遺体しか確認できていません」
「ふん」
少女は唐突に立ちあがり、外に出た。
「ちょっとどこに行くの」
深入りしてはならないと言われていたのに、飯島刑事は思わず後を追った。
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