現場

3/7
前へ
/74ページ
次へ
少女は床に這いつくばって何かを探している。 「・・ないな。ここにはない」 少女のワンピースは血みどろだ。しかし全く気にする様子もない。腐りはじめた血の臭いと、得体のしれない獣の臭いと、無数に飛び散った肉片と、血肉が染みついた畳の上に這いつくばる、真っ白な肌の少女。 異様だ。確かにこれは深入りすべきではない。そう思った。 「・・・子供がいたはずだ」 顔だけをあげて、少女は一課の刑事に聞いた。真っ白い頬がどす黒く血にまみれている。。 「はい。虐待されている可能性がある男の子がいたとの情報があります。しかし、まだ、ここには大人の遺体しか確認できていません」 「ふん」 少女は唐突に立ちあがり、外に出た。 「ちょっとどこに行くの」 深入りしてはならないと言われていたのに、飯島刑事は思わず後を追った。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加