琥珀

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「すみません驚かせちゃって」 「いえ、とっくに帰られたと思ってたのでびっくりしました」 「実は僕、園長先生の遠縁のもので、しばらくこちらの園の二階に泊めてもらうことになったんです。お前もふらふらしてるんなら園長先生の仕事でも手伝えって」 「え? そうなんですか?」 奈津美先生の表情がパッと明るくなった。 「よかったです。園長先生、あのお年でこども園に一人暮らしでしょ。倒れてたらどうしようって心配で、いっつも私、朝一番に出勤してるんです。そしたら園長先生、私の分まで朝ごはん作ってくれるようになっちゃって。しばらくいっしょに朝ごはん食べられますね」 え? そういう展開? 飯島は一気にどぎまぎしてしまった。カーリーがにやにやしながら見ている。三叉戟の柄で、飯島の肩をつついてくる。 ・・・やめろよ!と奈津美先生に気づかれないように振り払った、、、つもりだった。 奈津美先生は、カーリーに手を振ったのだ。カーリーはウィンクして返した。 え? 見えてる? 「な、奈津美先生、今何に手を振ったんです?」 奈津美先生は、あ、しまった、と言う顔をした。 「時々見えちゃうんです。かわいい狛犬さんみたいなのが、お迎えとお見送りの時に一緒にいてくれるから、挨拶だけはしてるんです。。。。やっぱり、あたし、変ですか?」 どうやら、奈津美先生はうっすらと見える人のようだ。奈津美先生には、カーリーが可愛いプードルみたいな狛犬に見えているらしい。
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