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「はー痛かった。シン、寝起きにあの女の一撃はきつかったよ」
「ごめんね。」
「シンが悪いんじゃないよ」
サン(三)はそう言うと、リウ(六)のほうを見た。
「初めまして。僕はサン(三)。君はリウ(六)になるのかな?」
「う、うん。初めまして」
「そっか。じゃあ、シン。いよいよ後一人だね」
「そう。あと一人。あと一人で完成するよ」
「待ち遠しいや」
「焦らなくていいよ。傷を癒して力を蓄えて最後の仕上げをしよう」
「それがいい。僕、ちょっと疲れちゃった」
「ゆっくり休むといいよ。まずは着替えなきゃね」
シンはそう言うと、パチンと指を鳴らした。柔らかい風が使い魔たちを包む。カラフルな一枚布を腰に巻き付けた裳、肩から長い布を回しかけた条帛を身につけた使い魔たちは、古い仏画に描かれた童子のようだった。いつの間にかシンも同じような服装になっていた。
シンは、阿修羅像を思わせる端正な姿だった。
「シン、似合うね」
サン(三)が笑いながら言った。
「お前たちも様になってきてるよ。ほら、寝床を作ったよ。おやすみ。」
シンは、木と木の間にハンモックをかけていた。三体の使い魔たちは、きゃあきゃあと騒ぎながらハンモックに飛び移った。三人が並んで眠るのにちょうどいいサイズだった。
あたたかくて、心地のいい寝床。リウ(六)はこんなのは初めてだと思った。
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