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「ルナリー、ありがと」
病院の個室。
ベッドに横になる私に、所長が面会にきてくれた。
「いいえ」
「私も、悩まされたから助かったわ」
ああ、やっぱり。
「良かったです」
アバラ一本かと思ったら、二本やられてたけど。
全治三ヶ月なんて。
「だけど……ヘマしちゃって、ごめんなさい」
「いいのよ。しばらくは休業だけどね」
あの後、あの男は警察に行ったらしい。
私やレイのことを言うのかと思ったら、自分の犯行を明るみにしたと。
DVの結果、二人ほど亡くなっていたことも分かった。
ぼろぼろの状態だったけれど、これは罰だと口を割らないらしい。
新聞に載っていた。
「サイコパスって反省するんですね」
「あなたと戦って、色々思ったんじゃない?」
救われたのよ、彼も。
そう、所長は言うけれど。
私はそんな大層なことはしてない。
「ルナリーもレイも、正義のヒロインね」
「それなら、いいんですけど」
分かってもらうつもりはない。
ただ、苦しんでる人の拠り所になりたいだけ。
「そうだわ。あなたの家族があなたを褒めてたわよ」
「え?私、話してないのに」
「………ごめんね。私、あなたのお母さんと親友なの」
「えっ!?」
初耳だ。
「ずーっとあなたのこと、心配してたわよ。それで、今回の活躍を伝えたの。あなたを応援するって。話聞いてあげれなかったからごめんって言ってたわ」
「そ、そうですか」
「気が向いたらでいいから、一度帰ってみたらどうかしら」
考えておきます、と言いたいのに。
言葉が涙でうまく出ない。
お母さん……。
私は、もっと頑張るよ。
まだ上手く話せないかもしれないけど。
話を聞いてほしい。
私は、またダークな世界で。
頑張っていく。
女性をまもるために。
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