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フェイワ。
私達の組織はそう呼ばれている。
平和を捩ったことば。
組織職員は、私とレイ、それから所長。
この三人だけ。
小さな組織だけれど、それはそれでやり易いからいい。
私は、男性に傷つけられたことはないけど、レイと所長は酷いめに遭わされた過去があるんだって。
レイは、付き合う前に優しかった彼氏が暴力を振るうようになった。
別れ話を切り出したレイは、殴られて顔が腫れていたと。
怖いと泣くレイに、彼氏は罵詈雑言を浴びせた。
別れるなんて許さない……!
そう、レイの彼氏は暴言の最中に叫んでいたって。
レイは、震えながら彼を蹴った。
弱々しい力だけれど、彼は一瞬怯んだ。
助けて!助けて!
ぼろぼろになって、彼女は助けを求めた。
そのあと、近所の人によって、病院に搬送されたレイ。
全治二ヶ月。
彼女は苦しんだ。
「そのあと、彼がいない隙を狙って引っ越したの。同棲はしていなかったけど、私の家に入り浸りだったから……引っ越しにも苦労したわ」
いまだに、メールや電話があるとレイは溜息をつく。
「無視はしているけどね。暴言ばかりよ。……私も依頼したいくらいだわ」
「今なら、レイは負けないと思うけどね」
「……そうかなぁ。いざ、目の前に現れたらきっと、竦んじゃうわ」
レイは辛そうに笑う。
「………そっか。何かあったら言ってよね」
「ありがとう、ルナリー」
当たり前じゃない。
あなたは、私の大好きな友達なんだから。
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