1人が本棚に入れています
本棚に追加
とはいえ。
私だって、悩みごとはある。
二人に比べて、軽い悩みだから言えない。
いや、言わない。
家族との不和なんて、残念ながらよく聞く話。
深刻なものもあれば、軽いけどちょっとだけ切なくなるものもある。
私の場合は、後者だ。
この道に入ることを咎められたわけじゃない。
暴力暴言のあらしだったわけでもない。
ただ、話を聞いてもらえないことが多かっただけ。
それは、地味にだけど確かに私の心を侵食した。
家族に、話そうとしても、話せないことが増えてしまった。
それでも、仲間はずれにされた訳じゃない。
ちゃんとそこに居ていいという空気はあった。
話を聞かせてもらえたし、たまには話を振られた。
だけど、面白いことが言えなかった。
何度もつづけば、話を振っても楽しくないと思われる。
そうして、私は自分のはなしをしなくなっていった。
それが、不和なのかは微妙なところだけど。
私は、ちょっと気不味いと思っちゃった。
家族は、どう思ってるか知らない。
もう、数年家に帰っていないし。
時々、ほんとうに気紛れだろうと思えるような頻度で、連絡はくる。
元気か聞かれるから、うんとだけ答える。
それだけ。
気をつけてね、と家族からの締めのことば。
はーい、と返信して終了。
ね、ほら。
大したことはないんだよ。
ただ、自分がつまらなくて、それが棘になっちゃってたときがあるだけ。
ただ、ちょっと溜息を吐きたくなる時はあるの。
泣きたくなる時も、たまに。
わけもなく、ってこういうことなんだろうね。
大丈夫。
私は強いから。
私は、強くなったから。
今は、話しても聞いてくれるひとがいるから。
……私を救ってくれた二人には、感謝しているんだもの。
大丈夫。
最初のコメントを投稿しよう!