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レイが、仕事をできなかったと連絡してきた。
こんなこと、今まで一度もなかった。
何かあったのかしら。
理由は言ってくれなかった。
何となく分かるけれど。
話していたことが、現実になったのかも。
そう思っていたら、所長が電話をかけてきた。
「はい。どうしました?所長」
『遅い時間にごめんね、ルナリー。レイの仕事、引き受けてくれないかと相談なの』
「ええ。大丈夫です」
『本当は私がしてあげたいのだけど……。ちょっと難しくて。』
所長も、私たちと同じく戦う女性だ。
私たち二人のパワーをあわせても、所長には敵わない。
「仕事が立て込んでいるんですか?」
手伝えることがあれば、と思ってそう言った。
『違うの……ちょっとね』
歯切れが悪い所長なんて、知らない。
もしかしたら。
「分かりました。すみません、深掘りしようとして」
多分そういうことだよね。
レイも、所長も。
深く言わないことが、確信となった。
二人を苦しめた男なんだ、今回のターゲットは。
ターゲットの顔は事前に分かっている。
レイも頑張ろうとしたのかもしれない。
だけど、返り討ちに遭ったのかも。
ドメスティック・バイオレンスをするくらいだもの。
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