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翌日、私は病院に行った。
ベッドで横になっているレイ。
「……ルナリー」
私を見て、弱々しく笑う。
こんなレイ、初めて見た。
数年付き合っているのに。
足を折られたの、と呟く。
「レイ……」
彼女の名前をただ呼ぶ。
何も言えない。
「あのね、気づいてるかもしれないけど……元カレだったの」
ああ、やっぱり。
「写真見た瞬間に、震えちゃったわ。だけど、依頼だし……頑張ろうと思って」
その結果が、これだわ……。
「そうかな、って思っていたわ。レイ、よく頑張ったわね。私に任せて」
「ルナリー。相手は一筋縄ではいかないわ。……気をつけてね」
レイは、また弱々しく笑う。
「ゆっくり休んで。また来るわ」
「うん。ありがとう、ルナリー」
……あのレイが……。
クールで頭脳派。
彼と別れてから、戦術を磨いていたレイ。
ブラック・エンジェルと呼ばれるレイ。
その彼女が、あんなにアッサリやられた。
相当な強者だ。
でも、と考える。
レイは、油断したのよね。
きっと、目の前にして恐怖が蘇った。
それで、彼に隙を見せたんだ。
「かたき、とってあげるわ。レイ」
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