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私は大丈夫、と思っていた。
だけど……。
「あれ?もう終わり?」
なるほど、急所を外していたぶるタイプか。
骨は折られてない。
だけど、パワーが強い。
ガードした腕が、ビリビリ痛む。
「終わり?違うわ」
終わるわけ、ないでしょう。
だって、この男にどれだけ傷ついた人がいると思ってるの。
「怖いねえ。レイもさあ、急に殴ってくるからビックリしちゃったよ」
元鞘に戻ると思ったのに。
そうニヤつくこの男が気持ち悪い。
「それだけのこと、してるって思わないの?」
「何で?だってさあ、女が男に逆らうのおかしいじゃん。ちゃんとシツケ、しないとねえ?」
おかしい?
この平等な世の中で、そんなことを言うなんて。
そっちがおかしいじゃないの。
「おかしい、ねえ。それで、レイ・フィッシュを痛めつけたの?ほかの女性も?病院行ったら?」
「言うねえ。ダークな仕事してる癖にさあ。正義かたるなんて」
言いながら、右足を繰り出してくる。
すんでのところで避け、私は足払いをしようと左足を仕掛けた。
だが、相手には読まれていたらしい。
ジャンプして避けられる。
私も間合いをとった。
「ダークなことしてるアンタに言われたくないわよ」
息がきれる。
こんなの、久しぶりだ。
「酷いなあ。おねーさんにも正義があるように、俺にも俺の揺るぎない正義(キモチ)があるんだよ?」
くだらない戯言は、ウンザリだ。
「呆れたボーヤだわ」
「ん。おねーさんの瞳、まだ死んでないね。いいよ。そういうのダイスキ」
もっと、あそぼーよ。
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