翼をください

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 あかねと私を引き裂いたのは、『末期の病』という大きな壁。  見つかったときには、もう手遅れだった。 「大丈夫だよ。心はきっと、私がいなくても元気にやっていけるよ」  そう言って笑っていたけど、そんなことはない。私はあかねと一緒にもっと思い出を作りたかった。もっとたくさん話して、笑いあいたかった。 「私、運命を受け入れることにしたんだ。だから心配しないで」  ――あかねの嘘つき。  全然大丈夫なんかじゃなかった。うるんだ瞳で、震えた声で。ぜんっぜん、大丈夫なんかじゃなかった。  合唱コンクールの練習も、あかねが率先して指揮をとってくれたよね。でも、病気が見つかって入院してからは、学校に来れなくなってからは、私がリーダーの役目をしていた。  でも、あかねほど上手くみんなをまとめられなくて、結局別の人に交代してもらったっけ。
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