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協力な助っ人がいるようで。
『ちょいと会わせたい御方が居るんだ』
にんまりと目を細めた猫倉にそう言われてから三十分ほど過ぎ、現在は午後九時前。いまだ店内の活気は衰えることなく盛り上がっている。
どれくらい時間がかかるか分からなかった左近は、同棲している葉子に帰りは遅くなると連絡を入れた。
メッセージアプリを閉じ、待っている間にと猫倉から差し入れられた焼き鳥を片手にスマホに保存していた写真を眺める。
画面いっぱいに広がる左近と葉子の楽しげな写真は、他者から見ても幸せそうだと感じられるものだった。
「可愛らしい彼女さんですね」
自然と頬を緩ませてスマホ画面を眺めていた左近は、急にかけられた声に驚いて顔を上げる。
いつの間にか隣へ立ちスマホ画面を覗き込んでいた紳士的な男性は、左近と目が合うとにこやかに笑みを浮かべた。
「あぁ、突然失礼しました。あまりにも幸せそうな顔でスマホを見つめていたので、気になってしまって」
声の主である彼は左近に断りを入れて隣の席へと腰を下ろす。見た目は四十後半くらい、品の良い背広は嫌みなく彼の魅力を引き立たせていた。
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