協力な助っ人がいるようで。

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「え? あの、どういうことですか?」 猫倉と久万山の間でトントン拍子に話が進む中、置いてきぼりにされていた左近が戸惑いながら問い掛ける。 一度左近を見た二人が顔を見合せると、猫倉は誤魔化すように笑い久万山は呆れたようにため息をついて首を横に振った。 「ちゃんと説明をしていなかったのか猫倉さん。世話好きなのは分かるが、しっかり本人に了承を得ておかないとダメだろう?」 「にゃははは……いやぁ、話したつもりだったんだけどねぇ」 「まったく……さて、狐嶋さん。貴方の事情は此処へ来る前に猫倉さんから聞いていたんだ。私で良ければ貴方の婚儀を手伝わせてほしい」 「えっ……いいんですか?!」 ガタンと勢いよく立ち上がった左近に店内の注目が集まる。我に返ってなんでもないですと慌てて頭を下げながら席に座れば、何事もなかったように賑やかさが戻った。 おかしそうに見てくる二人にも謝罪しつつ、猫倉が出したお冷やで酔いを覚ます。一息ついて落ち着くと、左近は改めて久万山に顔を向けた。 「一昨年、私の孫娘が嫁入りしてね。私たちの仲間も昔に比べたら少なくなり、人を化かす力も弱くなっている……嫁入り行列を行う大変さはよく分かるんだ」
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