協力な助っ人がいるようで。

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左近が席を外した後、猫倉と久万山はお互い箸を進めつつ彼の帰りを待った。 「しかし、人と狐とは色々大変だろうね……」 「なぁに、過去にも居たという噂を聞いたから大丈夫だろうさ」 休憩のはずなのに自分用に酒を出して飲み始めた猫倉に呆れた視線を向けながら、久万山は思い当たる噂話を記憶の中から引っ張り出す。 「あぁ、あの話か。私も少し聞いたことがあるよ。確かその夫婦の授かった子は特別な力を持っていて有名になったとか……まさかそれを狙っているのかい、猫倉さん」 「いやいや他意は無いよ! いつものお節介さね。二人のことを知っているから、ただ幸せになって欲しいんだよ」 「そうかい。それなら安心だね。後は彼らの門出を盛大に祝ってあげるだけかな」 剣呑な雰囲気を一瞬漂わせた久万山に、猫倉は慌てて訂正する。 あらぬ疑いをかけられて敵対なんてしようものならどうなることか。久万山の正体を知っている猫倉は気を落ち着かせる為に息を吐いた。 何を隠そう久万山の正体は、かつて八百八匹もの眷属をまとめあげた“隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)”と呼ばれる化け狸だった。
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