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昼休みに入る。それぞれがお弁当を持って集まり、食べ始めた。朱里は、他の少女たちと机を合わせて一緒に座る。
「沙羅ちゃんもここで一緒に食べよう」
朱里がそういうと他の女子たちが意味ありげにこっちを見る。皆、同じ制服を着ているからよくわからなかったが、まさしくこの三人は病院で見かけた少女たち。
朱里はまだこのような人たちとつるんでいる。けれど、わたしを闇火花が包む。ここは様子を見る方がいいとのことだ。おとなしくしているようにとわたしをせっつく。
わたしは、霊力の源の髪の毛を切られてしまったからまだ本来の力は戻っていない。義母たちを驚かせるために使った妖術なら充分驚かせると思ったのに。
タケル叔父が作ってくれたお弁当を広げた。そこには、彼がずっと見入っていたお弁当の本の通り、ミニハンバーグがあり、きれいな焦げ目が見えている卵焼き、プチトマトの赤みとほどよくゆであがったブロッコリーの色添え。小さな容器にマヨネーズ。ご飯にはふりかけのパックが添えてあった。
「すごいね。沙羅ちゃんが自分で作ったの? それとも美玖利先生?」
「タケル叔父」
そう言うと朱里は目を剥いた。
「あの人ってすごいよね。いつも沙羅ちゃんを見ているし、こんなのも作れるんだ」
そうかと思う。タケルはかなり忠実に沙羅を守っているらしい。
「へえ、叔父さんって人が作ってくれたの? お料理上手なんだ」
いつもニヤニヤしている感じの坂崎美里がお弁当を覗いて言う。皆の関心がわたしに集まった。他のグループの人たちも体を伸ばして覗き込むようにしている。
「え、叔父さんが? あ、そっか。篠田さんにはご両親がいらっしゃらないんでしたね」
リーダー格の菊池祐奈がそう言うと周りの生徒たちの顔が凍り付く。朱里も一瞬、とがめるような目で菊池を見たが、すぐにその目を落とす。口にしてはいけない言葉をいとも簡単に言ってしまった祐奈に恐れの色の目が集中した。
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