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わたしは柔らかな白いティシャツを着て、裾が広がっている紺色のパンツをはいた。これは袴のようで動きやすく最も気に入っているスタイルだ。
三十分くらい後にタケルが買い物から戻った。袋から買ってきた食材を冷蔵庫に入れながらあわただしくしゃべる。
「美玖利から連絡があって、これからすぐに迎えにくるから田牧さんと一緒にあそこへ行くって。夕食は帰ってからすぐ食べられるようにしとく」
「あそことは?」
「沙羅が見つかった廃神社んとこだよ。もうすぐあそこに何か建つんだって」
わたしにはその場所の記憶はない。眠った状態で見つかり、病院へ運ばれたから。行ってみたいと思う。
「じゃあ、宿題やっておけよ」
宿題? そういえばあったような。英語の教科書を広げ、今日習った単語のスペルを書いて覚える。そして他の教科書を引っ張り出し、それぞれの教科の今日習ったところを眺めていた。こうすることにより、教師の語ったことを思い出し、その詳細を確認できた。
それに没頭していると、美玖利がかえってきた。
「ただいま、今からすぐに行こう」
わたしは、英語の教科書を閉じて立ち上がると美玖利がにっこり笑った。
外には白い4ドアのカローラが止まっていた。田牧が運転席から顔を出した。
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「田牧さん、おかげさまで。その節はいろいろとお世話になりました」
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