虹色の波紋

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雨が止んだ。 きれいに並べられている鉢植えの中の1つで雨宿りしていた小さなバッタが動き出した。 雨粒に飾られている大きな丸っこい葉っぱの陰から、丸い目がのぞき、咲き並んでいるアジサイを見上げた。 身体を震わせ、とげとげした脚をぎゅんと曲げた。 びょーん。 びょんびょんと、アジサイの葉を跳ねて上っていくたびに、丸い水滴がきらめく。 涼しげな青色の花が爽やかな風に揺れている。 びょーんと隣の鉢に跳び移った。 一陣の風に、紫色の花とバッタの触覚がなびく。 雲が流れ、強い日差しが顔を出したり隠したりした。 びょーんと隣の鉢へ跳ぶ。 赤色の花が日光を受けて鮮やかさを増している。 地面の水たまりから靄が立ち昇っているようだ。 びょーんと次の鉢に向かって跳んだ。 真っ白な花が太陽の光を反射して輝いている。 びょんびょんびょーんと葉を伝って跳び、虹が映っている水たまりにポチャンと着地した。 虹色の波紋が広がっていく。 バッタは楽しそうに虹色の中で跳ねている。
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