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しかし、大盾持ちの男性はわたしの視線による問い掛けの意図を掴みかねたのか、疑問の眼差しを返してきたのみ。
「──よっこいしょ。ふー、一先ず、この辺に転がってたのはこれで全員……ですね。
ところで、見たところあなた方は旅人のようですが、護衛を雇われなかったので? 先の街とかで“この街道に盗賊が出る”ことは聞き及んでるしょ?」
「ええ、まあ。ですが、わたしは見ての通り吟遊詩人なんですが、こっちで身体強化の反動で動けず横になっているわたしの相方はみなさんとご同業なんですけど、荷物運びの依頼を受けているので荷物の保全を優先した結果、盗賊に追いつかれてしまったっていう次第なんですよね」
「ふむふむ、なるほど、そうだったのですね。分かりました。
それでは、ウォールトン、此奴らが起きて逃げないよう監視と彼女らの護衛をお願いします。ボクはあっちに転がってるのを縛り上げてきますので」
「うむ、承った」
「──ちょっと! なに盗賊のボス殺っちゃってるのよ! 賞金が半額じゃない!!」
唐突に轟く女性魔道士の怒声。
既に盗賊はレッカの活躍に因って一人を除き、全員黒焦げで倒れ伏している。
しかし、彼女はいったいナニを言っているのだろか?
職業柄、大盾持ちの男性の後ろに隠れながらも、わたしはレッカが盗賊をしばき倒していく様を終始つぶさに見ていた。
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