一曲目 よくある始まり

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 レッカの剣が折れたことで勝利を確信した盗賊のボス。  勝利の確信による慢心──それは、ときに致命的な隙を生む。  盗賊のボスは剣が半ばから折れて武器を失ったレッカにトドメの一撃を見舞おうと手にした剣を大きく振りかぶる。  その隙をレッカが逃す筈もなく、半ばから折れた剣を盗賊のボスへと突き出す。  しかし、盗賊のボスはそんなレッカの行動を鼻で笑い、次の瞬間、全身を焔に包まれて地面をのたうち回り、終には黒焦げになり失神。  勝負あり。  さて、何故、盗賊のボスは先のような形成逆転な負け方をしたのか? 答えは単純。レッカが剣に付与していた炎の魔法が健在だったから。  実は物に魔法を付与する類いの魔法は、術者と魔法の効果対象物が魔法発動時から接触した状態の場合、術者が魔法を付与した対象物に接触し続け且つ術者の魔力が続く限り効果は永続する。なので、レッカが手にしている剣に炎の魔法を付与したのがレッカ自身であったために付与した炎の魔法の効果はレッカ自身の魔力が底を尽くまでは効果が切れない。  結果、刃が半ばから折れていてもレッカの持つ剣は武器たりえた。そして、レッカの持つ剣が盗賊のボスの体に触れたことで、剣に付与されていた炎の魔法が発動し、盗賊のボスをこんがりと焼き上げたのだった。  これが、レッカと盗賊のボスの戦いの顛末。
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