一曲目 よくある始まり

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「わかったんなら、さっさと()れ! 盗賊なんて幾ら()ったところで殺人罪には問われないんだから、躊躇うな!」  ……いや、そう言われても……ね……。  っていうかさ、 「見えてないのに、よく後方の状況が分かるのね。もしかして、超能力?」 「アホか! オレが使ってる身体強化魔法は聴覚・嗅覚・視覚等の感覚も強化するから音とかでも状況が分かるんだよ!」 「さいですか」 「──っつうか、そろそろ魔力が切れそうだから、早く盗賊どもをなんとかしろっ!」 「はいはい、わかりましよー」  さて、どうやら早々に盗賊をなんとかしないとわたしたちは大ピンチ。  だがしかし、()るとなると、後々に最寄りの街の憲兵に通報やら事情聴取やらとかなりの時間を取られて面倒臭いことこの上ない。  かといって、相方がいまから盗賊どもをフルボッコにしようにも、魔力切れとともに強化魔法の効果が切れて身体を酷使した反動がきて暫くは真面に動けなくなる。  はてさて如何したものか? 「……わりぃ、魔力……切れ……──」  ──ぎゅむる!  そうこう考え(あぐ)ねいているうちに、とうとう相方の魔力が底を尽いてしまい身体強化魔法の反動で身体に力が入らなくなった相方は自らが牽いていた馬車の下敷きになってしまった!
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