はいけい、つきよのめがみさま

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 急いで廊下に出たレオヴァルトの背後で腐った男の高笑いが聞こえる。  だがそんなもの、今はどうでもいい。    ──ユフィリア、すまない。私がもっと早く駆けつけていれば……! 「グレースが君の部屋で待機している。痛いな……だがもう少しだけ頑張るんだ」  なるべく傷に触れないようにと配慮するレオヴァルトの両腕が、ユフィリアを優しく包むように横抱きにしている。 『くるのを、まってます』 『くるのを、まってます』 「…………レ、オ……来て、くれて……ありが、と……」 「いいから、今は喋るな」 『くるのを、まってます』 『くるのを、まってます』  ──私……レオが助けに来てくれるのを、待ってたのかもしれない  レオヴァルトの体温のぬくもりを感じる。  揺れる感覚と傷の痛みに朦朧としながらも、ユフィリアは何度も反芻するあの声を、耳の奥で聴き続けていた。
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