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鳥籠の小鳥
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ユフィリアの部屋では、グレースが《戦闘態勢》で待ち構えていた。
「グレース!」
ドアを蹴破る勢いで駆け込んで来たレオヴァルトが叫ぶ。
彼の剣幕に驚いたグレースが「ふぁっ?」と声をあげた。
「鞭で打たれたらしい。寝台はどこだ、寝かせるからすぐに診てやってくれ! 背中の怪我が……酷いんだ」
寝かせると言いながらも、抱えままのユフィリアの顔を初めて見るかのように覗き込んでは、鼻先に自分の頬を近づけたりしている。
「ユフィリア……ッ、息、してる……?!」
レオヴァルトはひどく慌てているが、もう何度もこのような修羅場に遭っているグレースはある意味、慣れている。
──きっとここまで、脇目も振らずに駆けつけてくださったのね。
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