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──目を覚ましたらユフィに教えてあげなくちゃね。レオヴァルト様は、あなたを助けようと必死だったって。
「いつもは神官たちに担架で運ばれて、部屋に戻ってくるんです。背中の痛みに耐えながらも意識があるんですけど、今日はレオヴァルト様に抱えてもらって安心したんでしょうね」
グラシアを注ぎ続けながら、グレースが言う。
「ちょっと待て、いつも……とは?」
「その、体罰を受けて部屋に帰って来る時、ですけど」
「レイモンドの体罰は、今日が初めてじゃないのか?!」
「いいえ違います。私が覚えている限りでも、聖女認定を受けた頃から始まって……そう、ここ二年くらい」
──二年だと? レイモンドの奴は、二年もこんな非道を繰り返してきたと言うのか……!
レオヴァルトの眼前に、ふと、近衛騎士であり親友でもあった従者ゲオルクの、断末魔の顔がよぎった。
同時に、レイモンドに捕えられたままの従者たち──ケイツビーとザナンザの、くったくのない笑顔も──残酷に鞭を振るうレイモンドの悍ましく醜悪な微笑みによって消されてしまう。
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