Prologue————*

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Prologue————*

『お前のせいだ』  閉ざされた暗闇のなかで赤黒い光のようなものが明滅している。  一度まばたきをしたその刹那、視線を下げると、遠くにあったその赤黒いものが足元でうごめいていた。  ——っ 『お前のせいだ……お前がわたしたちを見捨てたから』  輪郭のぼやけた人間の顔がユフィリアの足元に浮かび上がり、怨念を滲ませたおぞましい声をあげた。 「ちがう! 見捨てたんじゃない……知らなかったんだ」  ——そう……幼いあの頃、私は何もわかってなかった。だから、あなたたちは亡くなった。  必死で首を振りながらあとずさるが、足元に転がる何かにつまづいた。  ドレスの裾越しに見遣ればそれは人間の屍で、周囲を見渡せばいくつもの屍が黒い地表に点々と朽ち果てている。老若男女問わないそれらはみんな、哀しげに固く目を閉じていた。 「助けてあげられなくて、ごめんね……」  怖くなって駆け出すけれど足元がおぼつかず、ユフィリアが纏うドレスの裾が邪魔になって時々屍につまづいてしまう。  何度も転びそうになりながらも必死で闇の中を進んでいくと、突然視界が開けた。
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