第3章 あと一回。

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第3章 あと一回。

甄貴は西暦204年12月14日、 袁熙…字は小龍との間に授かった男児・飛龍を出産しました。 甄貴「…我が君…。」 甄貴が誰よりも恋い焦がれる袁熙は、 その頃烏桓族と共に曹操を討つ手立てを考えておりました。 袁熙「奪われたものは奪い返す! 私は袁家の威光などはどうでも良い。但し…桜綾だけは別だ。あれ程までに私を慕ってくれた桜綾を…2人の間に産まれた子をこの手に取り戻す!」 しかし…運命とは…残酷なもので… 郭嘉「烏桓族を滅し…天下を取るのは殿であると世に知らしめる必要があるのではないでしょうか?」 賈詡「奉孝殿はこの俺より恐い気がするのだが気のせいだろうか…?」 郭嘉…字は奉孝。 荀彧…字は文若と同じ頃、 袁紹の元に仕えていたがその才腕に疑問を懐き曹操の元へ仕官する道を選びここに至ります。 賈詡…字は文和(ぶんか) 董卓、リカク〈=変換不可〉などに仕え曹操と敵対する道を選んでいたが張繍と共に曹操を苦しめる事に成功した策謀家ではあるがその手腕を曹操に見込まれ今では曹操に仕えています。 曹操「…では…参るとするか…。 ん?時に子桓よ、そなたは桜綾の元におるのかと思っていたが…何故このようなむさ苦しいところにおる?」 郭嘉「むさ苦しいのは私ではなく文和殿の事だよね?私は爽やかな美男子だとお姉様方から呼ばれているから…」 賈詡「はいはい、そんな事より出陣の支度をしないと間に合いませんよ?色々と…」 賈詡から窘められた郭嘉が不服そうな顔をしながら連れて行かれると曹操は 曹操「子桓、過去も現在も未来も…それらは桜綾が生きた証なのだ…。だからこそ…桜綾を愛するならばそれらも含めて愛さなければならないのではないか?」 曹丕の懐く〈不安〉や〈恐れ〉などを一瞬で理解した上で恋多き男らしい助言を伝えると郭嘉と賈詡が待つ場所へと向かいました。 しかし… まだ17歳の曹丕にはその辺りの事を 理解するには早すぎたようでした。 それ故… 曹丕『もしアイツが命を落とせば 桜綾は私を慕ってくれるのではないか?』 その考えは飛躍してしまい… 甄貴がもし聞けば怒り狂ってしまうような考えを導き出してしまいました。 郭嘉と賈詡、2人の参謀により烏桓族は壊滅したものの甄貴と産まれたであろう我が子を取り戻したい袁熙は、 袁家の威光を取り戻したい袁尚と共に遼東を治める公孫康を頼る道を選びましたが… 公孫康「曹操に逆らうなど許されぬ。 そなたらは曹操に逆らった事が如何に無謀だったか黄泉の国で反省するべきではないのか?」   袁尚と袁熙は公孫康に捕まり その命を奪われてしまいました。 最期の瞬間、 袁熙の目の前に広がった光景は、 鄴城の前で大きく手を振り袁熙の元へ走り寄って来た甄貴でした。 袁熙『桜綾…もし許されるならあと一回だけでも桜綾に逢いたいよ…』 袁尚「兄上ー!」 袁熙は甘えんぼな弟・袁尚が寂しがらないように最期の時を先にするよう公孫康に頼んでおりました。 こうして…袁尚は泣き叫んでおりましたが公孫康によりその命は終わりを迎えたのでございました。 時は西暦207年09月14日の事でした。
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