自慢できるほどの恋はしたことがない

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 朝子さまは、松子さまのご学友の中でも一番のお友達である。しかし朝子さまはとても偉いお家の出身でいらして、アルバイトなんかもしたこがないし、むろん簡単にはやらせてはもらえないだろう。  しかし吾輩には偉ぶることもなく、あたたかく接してくれる。 「パリはどうだった?」松子さまが聞いた。 「もうね、厳戒態勢でテロ対策とかやってて、あんまりゆっくりできなかった」 「毎年行ってるのに観光とかしないでしょ」 「そんなことないわよ、ルーブルやオルセーなんか何回行っても飽きないわ」 「松子はどうなの、なんとか君?」 「栄二くんのこと?どうって言ってもね。忙しいみたいだし…」 「別れるの?」  吾輩は別れるに賛成です。あんなやつは松子さまとはお付き合いする資格はない。 「どこかデートしたの?」 「ううん、あんまり、うちばっかりでしか会ってない」 「もう、ほら、ダメじゃん、そんなやつ」 「ダメかな…」  朝子さん、もっともっと言ってやってください。松子さまには、もっとふさわしい男子がいいいです。  吾輩は朝子さん前で「ニャー」と言って応援した。
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