自慢できるほどの恋はしたことがない

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 朝子さんは黒く長い髪を、サイドに流している、白い袖なしのワンピースが涼やかで大変お似合いである。  松子さまは前髪をお作りになり、今風のアイドルのように顔の両横に少しだけ垂らしていた。明るい黄色のTシャツにパンツ姿だった。 「松子、アイラインしてんの?」 「えっ、うん、おかしい?」 「おかしくないけど、今から出かける予定?」 「ううん、特にそんな予定はない」 「じゃあ、なんでアイラインひいてんの」 「朝起きたらすぐにかくから、これで通常運転だよ」 「あいみょんの歌みたいだね。認めてあげようか」  朝子さまは松子さまの肩をポンポンと叩きニヤッと笑った。 「朝子に認められてもねえ…シロにはこのアイライン気に入られてないしなあ」松子さまが吾輩の方を見る。  いや吾輩はアイラインが気に入らないわけじゃあないんですよ。なんかその、松子さまのあの男に対するその、想いが気に入らないだけで。 「この前さ、シロちゃんに引っ掻かれた」 「どこ?」 「太もも」 「どうして?」 「私がちょっと酔っ払ってて、余計なことをしたのよ」    いや…ほんと、そのことについては、深く深くお詫び申し上げる所存です。申し訳申し訳申し訳ありませんニャー。  
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