舵を取れ、その手で

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 イリタニは、気づくと金の入った袋を握らされて、港の波止場にいた。  太陽が中天にかかる。太陽の位置が一番高い時間帯、正午、船上での天測の時間だ。  イリタニは、もう自分で緯度も経度も測ることができる。袋の中の金を使えば、自分の船だって手に入れられる。  大海原の真ん中でも、迷うことはない。  けれど彼は、どこへ行ったらいいか、まったくわからないのだった。 【終】
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