雨上がり

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ご機嫌な、かつての恋を思い出しそうになる曲が、フイにテレビから流れてきた。振り返って見てみると、わたしの生まれ年に流行った曲らしい。燦々と照る海が似合いそうに、視線を空に戻すと、ざぁざぁ雨が降ってる。まるでここが海の中。と、思おうとしたのだけれど、やっぱりちょっと違うかもと、目を閉じる。 雨音を聞きながら、水の中を想像する。膝を抱えて、顔は水面に向き、空を想像する。空って何色なのだろうと、空を見たことのない子は、空の色を知らない。わたしは彼を知ってしまったけれどと、かつてのどしゃぶりも、海の中も思い出す。 気づいたら、曲が変わっていた。 ゆっくりと目を開ける。 空が青い。 どのくらい目を閉じていたのだろう。 すっかり雨が上がっている。 目を閉じたときのあの子は、水面が青く光るのを知っている。 わたしは、大の字になって寝転んだ。青く光る水面が見える気がする。
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