『ヤマサ』

1/2
前へ
/12ページ
次へ

『ヤマサ』

「妾にその願い、もう一度 言ってみろ。」 「はっ?」 「妾の名前は『ヤマサ』。 山の神様じゃ。」 突如、目の前にめっちゃ綺麗な女の人がいて、ヤマサ?と名乗った。 「え?は…?」 「動揺するのも無理はない。 初めて姿を現したものだからな。」 「…。」 頭が混乱して、何を言っているのか分からない。どういうことだ? 山の神様『ヤマサ』…? サツナ…? 「ヤ…ヤマサ…? 願いを叶えてくれるのか?」 怖いけど、もし振り向いてくれるなら…! 「うむ、何でも言ってみると良い。」 …願いが叶う? そんな虫の良い話あるか? 無条件で? 「何か条件はあるのか?」 「何もお主が気にするようなものは ない。」 「俺が気にしなくても教えろ、条件はなんだ?」 「「見つけた。」」 バッと勢いよく振り向くとサツナと華乃がいた。 「颯真、そいつは危ない。離れて。」 サツナが今まで見たこともないような 顔をしてヤマサに向かっていく。 「颯真ってさ…そいつと友達なワケ?」 華乃がいつも顔面に貼り付けている 笑顔を取って話しかけてくる。 俺はどうすればいいか分からなくて呆然としていたが、自分に何もしなかったヤマサは彼女らにも何もしないだろと思ってた。 「ふっ…ついに来たか山崎家の末裔。 さぁ、“約束事”を実行してもらわなければな。」 「うん…分かってるよ『ヤマサ』。」 俺には何を話しているのか 分からなかった。 「末裔…サツナと言うのか。 生贄を捧げろ。」 「その前に、貴方の主は誰?」 「颯真だ。」 「じゃあ、私は颯真を殺すことになる。」 「そしたらお主の親や家族が死ぬぞ?」 「もう親はいない。」 「誰が決めつけた?」 「は?」 「よく見てみて、サツナ。」 「え…。」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加