重要な話

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重要な話

「で?何を話すんだ。」 「その…山の神様ってのは自分がなれるのか?」 「あぁ、十年に一度人間が役割を 交代するぞ。」 「今は誰なんだ?」 「今、妾が操っているのは… 山崎キサ(ヤマサキ)。 サツナの実の母さ。」 「…え?」 「死にそうになっていたところを、 通りかかって、ちょうど交代の年だったからヤマサに指名した。」 「そう…か。 そのサツナの母親は帰ってくるのか?」 「残念ながら、普通ならもう死んでるから今年誰かと代わっても何も変わらないな。」 「…そうか。」 「まぁ、どっちにしろ誰かと代わるがな。」 「山の神様になったら一生、俺に自我をくれ。」 「おっ、颯真がなるのか?」 「その代わり願いを叶えさせろ。」 「ふん…いいだろう。なんだ?」 「1つ目は、山の神様になっても 俺の自我を残すこと。そうして 2つ目は…サツナを生き返らせろ。」 「ふっ…承知した。 だが、1つ条件をつけ忘れていないか?」 「なんだ?」 「サツナを振り向かせなくていいのか?」 「…っ。 いいんだ。生きてくれるだけで。」 「そうか。これからのヤマサを、よろしく頼む。」 「あぁ。」 そうすると目の前が暗くなり次に目を 覚ました時は華乃の家だった。 「あっ!サツナ…起きたよ! 颯真が起きた!」 「え!」 そうバタバタとして2人が集まってくる。 「サツナ…華乃。」 「もー!心配したんだからね?」 「あー悪い。」 俺はもう、人間じゃねぇ。 そんなことは言えなかったよ。 お前ら二人見てたらそんなこと 言えなかった。 ごめんな…二人共。 「じゃ!また明日遊ぼうね〜?」 「もっちろーん!颯真もね?」 「悪ぃ、俺…引っ越すんだ。」 「「え?」」 「昨日の夜、急に決まって…。海外に。」 まぁ…嘘だけど。 「えっ…? 嘘下手すぎない?」 「は?」 「いや本当に、下手くそだね…颯真。 そんなに私達は信頼なかった?」 「そんな事言うなら然野呼びにしちゃうぞ?」 「え…?」 「「何でそんな選択をしたの?」」 「私は頼ってくれることを期待してた。」 サツナが言う。 「私達なら相談してくれたら、 なんとか出来たかもなのに。」 いつもとは違う雰囲気で華乃が言う。 「サツナのお母さんでしょ?『ヤマサ』。」 「ぇ…?な、んで?」 「お母様の雰囲気があったから。 そんなの実の子供なら分かる。」 正直、カナわないなって そう感じさせられた。 「はっ…ははっ。 お前ら二人はよくわかってるんだな。」 「当たり前でしょ?で、これからどうするの?」 「…山の神様になった。 人間を守る、そんな神様になる。」 「ふふ、颯真らしいね。」 「応、これからもお前二人が好きな颯真でいてやるよ。」 「ヒュー格好いい!」 「おい!からかうなよ…。」 そんな事を華乃と話していたら、 サツナの照れ顔が見えて人生最高の日 になった。
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