其の肆

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其の肆

8年前 『ねぇねぇーお父様? 何で約束事の最後のやつは、生き物 なのに殺すの?』 『それはな…儂にも分からんが、 おそらくサツナが大人に なったら分かる。 そしたらサツナ…お前が正しいと 思うことをしてくれ。 それが一族の想いだ。』 『分かった!みんなのために 私、頑張るね! でもさ〜、何で山に捨てる の?』 『ふむ…儂も考えたことはない。 けど先祖様が言っていたのは、 山に宿る神様に対する 生贄のようなものか…と。』 『えっ、じゃあさじゃあさ! 川は?誰が生贄?持って行くの?』 『川は…………』 「ハッ、ハッ、ハッ…。」 久しぶりに…過去の夢を見たな…。 「お父様…お母様…!会いたいよ…。」 私こと、山崎(ヤマサキ)サツナは 小さい頃に孤児になった。 今はまだ午前5時。 この家の誰よりも早く起きて家事を してご飯を作る。 それが私の当たり前。 明日からは楽しみな高校生活だと 言うのに…。 「ガタッ」 「ぁ…。」 ムカついて棚を蹴ってしまって 吹っ飛ばしてしまった。もちろん… 「おいっ!なんの音だ?」 「す…すみません…。棚が少し動いて しまって…。」 「静かにしろ。 お前は拾われただけ なんだ。」 「はぃ…。」 そうすると義理母は部屋に 戻っていった。 明日からの高校生活は どうなるだろう? いい友達ができればいいな。 そんなことを考えているとすぐに 夜になった。 私は夜、屋根の上に静かに登ると、 独りで小さい声で、山崎家の約束事を 唱える。 「其の壱、人のことを…。 其の弐、生き物を…。 其の参、自分を…。 其の肆、自分が好意を持った相手を 山につれていき…。 殺せ。」 お母様とお父様の復讐したいけど約束事は守りたい。だから殺さない。 自分だけを犠牲にすれば人はみんな 幸せなはずだ。 そうだと私は信じている。
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