山の神

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山の神

山の神と聞くと聞こえは良いかも しれない。 ここらの山の神というのは 『ヤマサ』と呼ばれる。 小さい頃から家の約束事を叩き込まれ やらないといけない事を覚え、神様の名前も全て暗記した。 『ヤマサ』は危ない神様の 部類に入る。 危ないところは複数あるが、特に 他と違うのは3つ。 1つ目は、10年に一度…人間と役割を交代する。 その人間は勝手に選ばれるか自分から 行くことも出来るが、まあ行く人は いない。だから勝手に選ばれる。 選ばれた人間は10年後、攫われた時の 年齢のまま人間社会に戻される。 2つ目は、元々人喰いをしていた神様 というもの。 全部の神様に生贄がいるから人喰いを しているのはあまり変わらない。 ただ、違うのは虐殺があったことだ。 この山が出来たのは19☓☓年。 その年から2年後…若い人を中心に ある病が流行った。 近づいたものは全員感染し死に至る病。そのため名前を知っているものも いない。その人間の意識を喰ったのが 『ヤマサ』。 ただ、私の一族しか知らないが、 何でこれが起きたかと言うと、 その年の生贄者を捧げるのを 忘れていたからだ。 3つ目は、『ヤマサ』が気に入った 人間を主人と考え、その人間の感情や 体調に異変があると急な雷雨や氷が 降る。 そして、その人の言うことをなんでも聞いてくれる。 ただ、その人間が誰かを殺したり逆に殺されたら『ヤマサ』が、うちの一族の内、2人…ランダムに殺される。実際、私のお祖父様とお祖母様が殺されている。 私の一族は主に『ヤマサ』の面倒を見るため責任を見ろ…ということだろう。 だから『ヤマサ』にはいい思い出が ない。
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