時が経て

2/2
前へ
/12ページ
次へ
「だ〜い好きだよ!」 あっ…。 そう言ってから後悔した。 なんで言ってしまったのだろう。 やばいどうしよう。 そんな悩みが脳内を駆け巡る。 突如、頭に“約束事”の其の肆が出てきたのだ。 殺さないといけない。 好意を持ってしまっていたんだ。 分かれるまでは頑張って笑顔を 続けた。けど一人になってからは 耐えられなかった。 「あぁぁ゙!」 なんでだよ…。 最初からわかっていたじゃないか。 殺さないといけないって。 好意を持ってしまったら後は言霊だけでなんとかなってしまう…。 口から「死ね」という言葉を 出すだけだ。 いやだいやだいやだ…! 山の神様…『ヤマサ』がまた変わるのは 今年だ。 『ヤマサ』が二人を殺さなければいい。 殺させなければ…。 そうだ!私が 『ヤマサ』になれば…? 「だ〜い好きだよ!」 そう言ってくれた私の親友は、今まで見た中で一番の笑顔で答えてくれた。 そんな笑顔に、つい、可愛いな…と 思ってしまった。 何やってんだろ。 最初の目的は殺すことだったろ…? 仲良くなるフリをして…! なんで! 大好きになっちゃったんだよ…。 アタシが決めたんだろ? そうだ…もう自分で殺せないなら、 『ヤマサ』に殺してもらおう。 そういってアタシは呼び出したが、 その声は何もいない空間に消えた。 「だ〜い好きだよ!」 その言葉に恋愛的な意味が入っているかは分からない。でも、サツナは 入れていないんだろうな。 俺の片思いは叶わないままだ。 さっきの言葉で一番最初に 思ったことは、「先に言われちゃったな」と言う事だった。 俺から言いたかったのに…。 あーあ。 「神様ー!サツナが俺の事を、意識してくれますように!」 ま…神様なんていないのは知ってる。 結局は自分でなんとかしろって事 だよな…。 「はぁ…どうすっかねー。」 そんな独り言は誰もいない歩道で 消え去っていった はずだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加