八小節 3

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八小節 3

 あなたは気分を害したかもしれないが、ちらともそれは見せなかった。穏やかに笑ってわたしの手を握り、それから鍵盤に指を走らせた。  わたしは生意気な餓鬼だったけれど馬鹿ではなかったから。圧倒的な力の差にはすぐに気が付いた。高く伸びた鼻はあっさりへし折られた。
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