黒、白、赤面。

　ここに、一枚の奇妙な写真がある。
　ジェットコースターでの写真。あの急勾配を滑り落ちる時にパシャリと撮るやつ。乗り終えた後で、モニターに映し出され『よければ買って下さいよ』というアレ。
　降下する速度に圧され、あるいは笑顔で、あるいは歪んだ顔で写されて、記念として好んで買うような方もあるだろう。
　さて、奇妙というのは他でもない。
　この写真。男が二人、コースターの最後部に並んで写っている。
　そのうちの一人が片腕を挙げているのだが、その手のひらは何故かこちらに向いていない。妙である。こういう時は、両腕を挙げてバンザイか、片腕であれば正面のカメラに向けてピースサインを送るくらいが常であろう。それがまるっきり、手のひらを返してしまっているのだから。
　何よりも、その顔。
　まるでもう一人の男の様子を窺うように、横を向いているのだ。