甘やかしすぎな彼

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 ぼくは彼の寝顔を見るのが好きだ。さっきからずっとベッドの縁に腰掛けて彼の寝顔を眺めている。  眠っている彼は無垢で無防備、あどけないと言ってもいいほどの寝顔。  …そろそろ時間切れ。出かけなければならない。  散々迷った挙げ句、彼の頬に手をのばす。気持ちよさそうに眠っている彼を起こすのは忍びないが、次にいつ会えるのか分からないので、どうしても彼の声を聞いてから出かけたい。手の甲でそっと彼の頬にふれる。彼の目がゆっくり開き、それからぼくを見上げ、うれしそうに笑った。 「…あ、先生。おはようございます」 「…ごめん、起こしてしまって」 「仕事に行くんですか?今何時?」 「8時。ぼくはもう出るけど、ゆっくりしていってね」 「分かりました」  そう言って彼は、んーと伸びをした。急に仕事に行くのが嫌になる。
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