ヒラメと太陽

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 悲しい過去に対して自己防衛的に「終わった」と勝手に終止符を打ち、まるでゲームのリセットボタンを押すように、新たな「もう一回」で塗り替えてゆく……。確かにそれは少し違う。あった事を無かった事にはできない。ではどうすれば良いのか。 「終わったなんて悲しいこと言うなよ。俺たち独身三人組を目の前にして、もう一度同じ事が言えるか?」 自虐的な言葉だったが悲壮感はなく、三人とも笑っていた。彼等に結婚願望はない。毎日を趣味や仕事に明け暮れ、充実した人生を過ごしていた。  やはりそうか、価値観なんて人それぞれだ。そう思った瞬間、一人が加えて言った。 「過去は過去。それは変えられない。受け止めるしかないんだよ。勇気を持って向き合え! その上で、自分の人生を楽しめ! 過去も現在も未来も、前部ひっくるめてお前という人間なんだよ! あれ? 何か俺、変なこと言ってる? もう、よく分からん……!」 顔を赤らめて虚ろな目で発したのは、複雑な家庭環境で育った友人だった。 「お前は飲み過ぎだ!」 もう一人の友人がそう言うと目の前の日本酒を水に置き換え、残りの一人がこちらの反応に気を遣って一瞬様子を窺った。泥酔する友人の発言に「気にしてない」という素振りを見せた。  実際、彼の言葉で、凝り固まっていた思考が少し柔らかくなったのを感じた。
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