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着る前に値札をチェックして、改めて買ってもらうのは断ろうと思っていた。
「じゃあさ、俺と五回デートして」
「なんでそうなるの」
随分と金のかかるナンパだ、と茜は呆れて笑ってしまう。強引だけど、憎めないのは時折見せる人懐こい笑顔のせいだろうか。
「俺たち何かの縁があると思わない? 同じ色の服を着て、名前も空に関わるものだったし。俺たち、空色同盟を組もう」
「空色同盟?」
「そう。空色の服を着て出かけるんだ。空色って、さっき着てた水色のことじゃないよ。そうだなぁ。前日に見た空の中で一番綺麗だと思った色にしよう」
「わかった」
きっと嫌だと言っても食い下がるのだろう。それに、ソラの提案はなんだか面白そうだ。
何度も礼を言いながら会計をしてもらい、店の外に出るともう雨は止んでいた。ふたり並んで空を見上げる。雨雲は姿を消し、ソラが好きだと言った濃紺の空が広がっていた。
もし明日出かけるなら、お気に入りの紺のスカートを着よう。茜はそう考えた。
【空色同盟】
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