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05 飯炊き女はメイドになる3★
「どうかしたか?」
ケロッとした顔のネロが首を傾げる。
オリヴィアは動揺を悟られないように努めながら、記憶の中の朧げなそれの形を引っ張り出そうとしていた。自分とて生娘なわけではない。経験人数が多いわけではないけれど、おおよそのことは理解しているつもりでいた。
だけども、どうだろう。
未だかつてこんなものを相手したことはない。
「あ、続きは明日にしましょう」
「は?」
「もう夜も遅いですし、私は明日六時に起きて陛下の朝ごはんを作る予定があるのです。寝不足をしては寝坊する恐れがありますから」
「お前はここで止めろと言うのか?」
ヒクッとネロの口角が上がるのを見た。
もちろんオリヴィアとしても出来れば最後まで務めを全うしたい。けれども、暫くご無沙汰であった自分の身体には少しばかり荷が重い気がする。
「陛下、簡潔に言いますが私には大き過ぎます」
「そんなことを言わないでくれ」
「命の危険を感じるので今日はご遠慮したいです。陛下がメイドを寝取る特殊なプレイを楽しみたいのは理解出来ますが、今晩はどうかお鎮めください」
「おい、皆まで言うな。鎮めたくても鎮まらない」
「しかし………」
オリヴィアはうんうんと頭を悩ませる。
その間にもどういうわけか上を向いて反り返るブツは大きさを増しているように見えた。お願いだから一旦冷静になってほしい。鉄仮面の皇帝なんだから、己の分身ぐらい容易く機嫌を取ってくれれば良いものを。
悩み続けるオリヴィアの方をちらっと見遣ると、ネロは「こういうのはどうだ」と口を開いた。
「なんですか?」
「お前は見たところ良い脚をしている。挿れなくて良いから、少しだけ挟めてくれないか?」
「………確認ですけど、陛下って皇帝の自覚あります?」
「自覚?まぁ、一応あるが」
王宮に勤める他の女たちが知ったら卒倒しそうだ。
天下の皇帝様が彼の息子の憤りを鎮めるために飯炊き女ごときに素股をお願いしている。それいったいなんて地獄絵図。もういっそ高級娼婦でも呼んだらどうか。
しかし、報酬のためには仕方ない。
むしろ合体の手間が掛からない分、感謝。
「分かりました。私は不慣れなので陛下がリードしてください。とりあえず横になれば良いですか?」
「そうだな。すまないが、失礼する」
言い終わる前に背後からぬっと見知らぬ何かが太ももに押し当てられた。短いスカートを託し上げて、大きな手がオリヴィアの尻肉を揉む。
「………っひゃ!」
「お前は胸ではなく尻に栄養が行ったようだな。色々な女を抱いて来たが、肌のキメが細かくて良い」
「分析はいいので早く終わっていただけますか!」
「分かった」
ぐぐっと下着越しに太いものが擦れる。
こんな行為ではたしてネロは気持ち良くなっているのだろうか、と恐る恐る首を回した先で目を閉じて悦に浸る顔があったので絶句した。
「……あぁ…オリヴィア、」
「………ッ!」
ゾクゾクする。
体格差のある身体で押し潰されながら、オリヴィアは頭がぼうっと熱を持ったみたいに感じた。鉄仮面と恐れられていた我が君主が、堪え切れないように短く息を吐く。
(なんでそんな顔をするの?)
ネロは額から汗を流しながらオリヴィアの背中に顔を近付ける。不意にうなじを舐め上げられて変な声が漏れた。
「へ、陛下……!っやぁ…!」
「ご主人様と呼んでみてくれないか?」
「…………」
「後生の頼みだ。恥じる必要はない」
仮にも皇帝である彼には少し恥じらいを持ってほしい。
しかしながら、伸びて来た手が前に回って胸の辺りをそわそわと動くので、もう何もかもどうでも良くなってきた。やがて両の乳房がすっぽりとネロの手に納まる。
「……ご…主人さま…?」
「あぁ、良いな。すごく良い」
「ご主人様、手の動きが、なんだか…!」
「うん?」
そろりそろりと丸く膨らんだ球体を優しく撫でていたネロの手が、急にギュッと突起を摘む。ビリリッと鋭い刺激が走ってオリヴィアの腰が文字通り浮いた。
「───っんぁ…!?」
頭の中が真っ白になる。
いったいどういうことだろう。分かっているのは自分が履いている下着がどうやらこれ以上は使いものにならなくなったということ。皇帝は満足げに喉を鳴らして腰の動きを速めた。
「オリヴィア、少し漏らしたな。下着を汚してしまってすまない。あと少しで終わるから我慢できるか?」
「が…まん……?」
聞き返すとネロはにこりと笑う。
返答はなく、ただ大きな両手がオリヴィアの腰を押さえた。
「っは、可愛い……期待以上だよ、オリヴィア」
「まって、あ、いやだ、はやいのだめ…ッ!」
「…………っ、出る」
ドクッと熱いものが股の間でじんわりと広がる。
オリヴィアは肩で息をしながら、自分の後ろで同じく荒い息を繰り返すネロの姿を見つめた。いつもより乱れた白い髪がオリヴィアの肌に触れそうだ。
そっと指先を伸ばしてその頭に触れてみる。
と、瞬時に起き上がったネロが鋭い目を向けた。
「あ……ごめんなさい、綺麗で…」
「綺麗……?」
「陛下の髪が、美しかったので」
しどろもどろのオリヴィアの言い訳を聞いてネロは少しだけ驚いた顔をして見せた。しかしすぐに「そんなことか」とそっぽを向いてしまう。
宙ぶらりんになった右手をどうしたものかと見つめていたら、ネロは再び青い瞳でこちらを見た。
「こんなものでよければ、いくらでも触って良い」
「………っふふ、ありがとうございます」
オリヴィアはその言い方に一人笑って、飽きるまで大きな白い猫の毛を撫でた。ネロもまた、目を閉じて気持ち良さそうにしていたから、そこまで嫌ではなかったのだと思う。
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